寺子屋スジャータ

今週の偈 2021.09.20

耐え忍ぶこと(Khantī)
お釈迦様が説かれた「耐え忍ぶ」とは、世の中の変化に合わせて心が揺らぐことなく、安寧な状態でいる訓練なのです。気候変動を耐え忍ぶ。体調の変化を耐え忍ぶ。他人の気に障る言葉を耐え忍ぶ。幸不幸に遭遇しても冷静でいる。失敗しても成功しても冷静でいる。これらが耐え忍ぶことです。耐え忍ぶことで、世の中は自分の希望どおりに動くものではないと発見します。そもそも希望をつくった自分のほうに過ちがあったと発見するのです。世間は、自我を中心にして、自我の衝動で、自我の指令で生きていて、苦しみの世界を築きます。耐え忍ぶ人の場合は、自我の錯覚が薄れていきます。苦しみの世界ではなく、安寧な世界に生きられます。もしここまでできたならば、人格的に超人ではないと言えるでしょうか? お釈迦様も、「最高の修行とは耐え忍ぶことだ」と説かれたのです。

アルボムッレ・スマナサーラ
『慈経/宝経/吉祥経 (初期仏教経典解説シリーズⅣ)』 Ⅲ 吉祥経 P156-157 サンガ出版より

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