今週の偈 2021.11.29
怠けに打ち勝つ秘訣
私たちの精神的な成長を妨げている、大きな障害があります。それは「怠け」です。では、なぜ私たちは怠けてしまうのでしょうか?
生きるというのは、キリがない行為です。忙しく立ち働いていると疲れてきて、苦しさから逃れるために横になって休みたくなる。しかしずっと寝ころんでいると、また背中が痛くなってたまらなく起き上がりたくなる。そんなことの繰り返しです。もっと細かく見てみれば、呼吸することも苦からのエンドレスの逃走劇です。息を吸ったら苦しくなって、その苦しみから逃れるために吐きたくなる。そして息を吐いたら、また苦しくなってそれから逃れるために吸いこみたくなる……。
生きるとはそんなイタチごっこの明け暮れなのです。「生きることにはキリがない」と薄々分かっているから、怠けたくなるのです。もちろん、怠けることは、「生きること」を乗り越える道とは正反対です。生命はみなアベコベ思考の無知だから、正しい道とは正反対の「怠け」に逃げ込んで、生きることをやり過ごそうとするのです。ですから、生きていると、どうしても出てくるのが怠けです。
この根深い「怠け」を絶つ方法があります。それは、「背筋を伸ばすこと」です。背筋を伸ばすと怠けがなくなるのです。そんな簡単なこと?と驚くかもしれません。しかし、意識して背筋を伸ばす習慣をつけると、驚くほど「怠け」に対する抵抗力がつきます。怠けが心に入ると、背筋がどんどん丸まっていきます。それに抗することで、怠けに打ち勝つ不放逸の人格が育つのです。今日から試してみてください。
アルボムッレ・スマナサーラ
『パティパダー 2009年7月号 智慧の扉』 日本テーラワーダ仏教協会 HPより