今週の偈 2024.10.28
「知っている」と思う者が愚か者 4/4
愚かな者は、自分にありもしない尊敬を得ようと願う。
修行僧らのあいだでは高い地位を望み、僧院にあっては支配権を望む。(73)
愚か者の特徴は、自分が賢者に見られたいということです。そういう人にかぎって有名な先生につこうとします。偉い先生のそばにいることをありがたがるのです。「自分はすごいぞ、知っているぞ」と見せかけるために、賢者のそばにいます。朝から晩まで、先生につきっきりでいるのです。「わたしは、あの大先生の弟子です」と言いたいのです。見栄を張って威張ろうとします。
しかし、いくら立派な先生のそばにいても、賢者に見られたいという気持ちでいたならば、なにも学ぶことはありません。「わかりたい、学びたい」という人は、ほんの少しでも真理に触れたならば、すぐにそれを理解することができます。あたかも舌の先がちょっとでもスープに触れたら、その味がわかるように。「自分はなにも知らない」として学びつづける人は、かならず花が咲きます。人はいつ学ぶのが終わるかというと、それは死ぬ瞬間です。「学ぶのは死ぬまで。教えてもらうのは死ぬまで」インドにはそういうことわざがあります。
アルボムッレ・スマナサーラ
原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話 佼成出版社より