寺子屋スジャータ

14話 菩薩の出家

南伝ブッダ年代記 | アシン・クサラダンマ | 花

アシン・クサラダンマ長老 著 
奥田昭則 訳 / チョウ・ピュー・サン 挿絵

第1部 出家まで 

第5章 出家

14  菩薩ぼさつ出家しゅっけ

南伝ブッダ年代記

よっつの予兆よちょうが、つぎからつぎきた。ちょうど丸木まるきしがらみのないかわながれ流れて確実かくじつ大海たいかいいたようなものであった。はちにん学識がくしきあるバラモンの予言よげんしていたことが実際じっさいに起きたのである。
まいにしている宮殿きゅうでんでスッドーダナおう豪華ごうか祝宴しゅくえんをひらかせた。盛大せいだい晩餐ばんさん用意よういされ、王子おうじをもてなすために、うつくしい侍女じじょ配置はいちされた。音楽おんがく舞踊ぶよううたのそれぞれ妙手みょうしゅおんなたちは、天女てんにょのような美貌びぼう姿態したいぬしばかりであったが、このあさまれたスッドーダナ王のまご息子むすこのラーフラの誕生たんじょう祝賀しゅくがして、王子をたのしませよう、とちかまえていたのである。
王子は、幸先さいさきのよい外出がいしゅつからかえってきたばかりで、それ以前いぜんの外出にくらべて、はるかに幸福こうふくそうにみえた。そのため宮殿のだれもが誤解ごかいした。わが子ラーフラが誕生したので王子は幸福なのだ、とおもったのだ。しかし、じつのところ、ててそうになることによって、ほんとうの幸福にみちびかれてゆく、というみちったために幸福だったのだ。
とはいえ王子は、父王ふおう失望しつぼうさせたくなかった。晩餐をしずかにべ、歌やおどりにはあまり関心かんしんはらわなかった。そのあと王宮おうきゅう長椅子ながいすがあるところへって、そのはじすわった。歌い手うたいて踊り子おどりこのすべてが王子のくところについて行った。楽器がっき演奏えんそうにあわせて、演者えんじゃたちは美しい踊りやたえなる調しらべの歌を披露ひろうした。王子は、踊りをても、歌をきいても、たのしくはなく、こころひかれるわけではなかった。実のところ、終日しゅうじつの外出でつかれていたし、王子はろうびょうのすべてのくるしみ、なやみ、みじめさから有情うじょう解放かいほうする、というかんがえに心をうばわれていたのである。
しばらくすると、王子はたいへん疲れてしまった。もはや歌や踊り、音楽のような娯楽ごらくにはなによろこびもなかった。それからみぎわきしたにしてよこになり、すぐねむりにちた。ねむっている王子を楽しませるのは無駄むだだと知って、歌い手や踊り子、演奏しゃたちは上演じょうえんをやめた。王子がをさますまでしばらくやすめる、と思ったのだ。かれらもまた、疲れきっていたので、寝室しんしつらす香油こうゆあかりはそのままにして、たちまち眠ってしまった。

王宮をはなれる

真夜中まよなかごろ、シッダッタ王子は目覚めざめた。長椅子のうえあしんですわり、あたりを見まわした。はいったものにぎょっとした。踊り子、歌い手、演奏者のすべてが、寝室のゆかいっぱいにていたのだ。
ほんのすこまえにはうつくしく、なまめかしく、王子をもてなしていた女たちが、いまや、その魅力みりょくうしなっている。くちをあけたままねむる女、口からよだれをらしてほおにシミをつけている女。えた妖怪ようかいみたいにぎしりする女、ブゥーッブゥーッとぶたみたいにいびきをかく女、ぺちゃくちゃ寝言ねごとはなす女。しどけなく着物きものがはだけ、裸体らたいをさらしている女がいる一方いっぽうみだれて、たばねていたかみがほどけ、バラバラになった女もいる。いずれも醜悪しゅうあくで、むねわるくなるような、ずべき醜態しゅうたいをさらけ出していた。
王子はこの光景こうけい反吐へどそうなおもいであった。墓地ぼちにころがっている死体したいと、なんらわらないではないか。
菩薩であるシッダッタ王子は、感覚かんかくの喜びのいつつの対象たいしょうしきしょうこうそく)から、さらにはなれていった。それはほんとうの幸福ではなく、いっそうの苦しみと悩みを生み出していくのだ。このとき王子は、はげしい思いを口にした。

“Upaddutaṃ vata bho! (ウパッドゥタン ワタ ボー)
Upassaṭṭhaṃ vata bho!” (ウパッサッタン ワタ ボー)

おお、なんとなやましいことか!
おお、なんとわずらわしいことか!

シッダッタ王子は、在家ざいけ生活せいかつから脱出だっしゅつするのは、いまこそまさにそのときだ、とさらにつよおもうようになった。王宮の長椅子から起き上がり、踊り子や歌い手、演奏者の誰もこさないように、そっと寝室をはなれた。それから、敷居しきいまくらにして寝ているチャンナをみつけ、こう指示しじした。
「チャンナよ、今夜こんやこそ、わたしは、この世を捨てたい。誰にもらせるな! はやく静かに行って、わが無双むそう白馬はくばカンタカにくらをつけ、少しきつくめてくれ!」
チャンナはうなずいて「かしこまりました、殿下でんか」と、いった。すばやく馬具ばぐとほかの装備そうびって、チャンナは王宮の厩舎きゅうしゃかった。チャンナがいくぶんきつくしてカンタカに鞍をつけると、このうまは、ふだんとちがう鞍だな、とづいた。王子がまさに今夜、自分じぶんり、まちがいなく出家して僧になる、とわかったのである。王子の気高けだかとおとい出家(だい出離しゅつり(マハービニッカマナ))のために王子が自分をえらんでくれたので、カンタカは大喜びだった。喜びのあま猛烈もうれつにいなないたので、カピラヴァットゥのみやこちゅうひびきわたったが、かみ々はそれをしずめて、誰にもきこえないようにした。
一方、シッダッタ王子は生まれたばかりのわが子を出家前に見ておくべきだ、とかんじていた。それでヤソーダラーの寝室にき、そっととびらをあけた。香油の灯りにらされた寝室で、きさきがやすらかに眠っている。妃が、横にあかちゃんをかせ、片手かたてあたまの上につけてかおつつみこむようにしているのを王子はみつけた。心の中にあふれる愛情あいじょうから、王子は扉のところにったまま母子ぼしを見ていた。あえて妃のをとりのぞいて、わが子をきしめようとはしなかった。心より、ほんとうにそうしたかったのだが、しなかったのである。王子はあれこれ考えをめぐらせていた。
(もし、わたしが妃の手をとりのぞいたら、妃をこしてしまうだろう。そして妃が起きたら、いまやろうとしているわたしの出家の計画けいかく頓挫とんざするだろう。妃はきっと、わたしが王宮をるのをゆるさないだろうから。わが子をまだ見ていないけれど、わたしがこの世のからの解脱げだつの道をみつけたあとに、そして老、病、死をりこえるくすりをわたしがみつけたあとに帰ってきて、息子とその母親ははおやうだろう)
このように断固だんこたる決断けつだんくだして、王子は寝室から出て行き、扉をそっとめた。
チャンナとカンタカは準備じゅんびえ、住まいの宮殿の前で王子をっていた。王宮からりてきた王子はカンタカに近寄ちかより、このように指示した。
「カンタカ、今夜わたしの大出離、気高けだかとうとい出家へ、道案内みちあんないしてくれ! おまえの手助てだすけは、確実におおきな功徳くどくとなる。さとりにたっしたあと、わたしはすべての有情を輪廻りんね(サンサーラ)の苦から解脱させて救い出すくいだし、かれらを涅槃ねはん(ニッバーナ)の最上さいじょうの幸福へみちびくであろう」
紀元前きげんぜん594ねん、アーサーラーつき現代げんだいれき七月しちがつごろ)満月まんげつの真夜中、シッダッタ王子はカンタカのって、ひっそり王宮をはなれた。王子とどう時刻じこくにこの世に誕生したチャンナがお供だったが、チャンナは馬のしっぽをしっかりにぎりしめて、ついて行った。
ひとれのあつくもきゅうあらわれ、まるですかのようにそらおおった。しかし、まもなくえた。皎々こうこうたる月のひかりよる静寂しじまらし、空はあかるくみわたった。
菩薩のこども時代じだい以来いらい、スッドーダナ王は多数たすう見張みはりの番兵ばんぺいに、正門せいもん護衛ごえいするよう指示していた。王は、八人の学識あるバラモンが予言していた予兆を菩薩がることのないようにと、いっそうの警戒けいかいのぞんだ。しかしいまや四つの予兆が起きてしまったあとなので、王都の正門警護けいごをさらに強化きょうかしよう、と王は考えたのだ。このため、正門からづかれずにそとるのは、王子には不可能ふかのうになっていたのだった。
菩薩とチャンナとカンタカのいずれも、王都の正門警護が強化されている、と知っていた。しかし、正門がひらかないなら、カピラヴァットゥの都から脱出するためには、たか城壁じょうへきえてこう、というこころづもりを、いずれもおなじように持っていたのだ。ところが菩薩がんでいた功徳のおかげで、もん守護しゅごする神々は、菩薩が門を通り抜とおりぬけられるように、よろこんでけたままにしておいたのである。

悪魔あくま(マーラ)の在天ざいてん(ヴァサヴァッティ)のきとめ

かくして菩薩が王都の正門に着いたとき誰ひとり外に出るのをさまたげる者はなく、やすやすととおれた。しかし、正門を通り抜けたまさにそのとき、悪魔の自在天が制止せいしした。天界てんかいろくよくてんさい上位じょういにある他化自在天たけじざいてん(パラニミッタヴァサヴァッティ)のみかから、りたたんだうで可能かのうなかぎり速くばすように、一瞬いっしゅんのうちに人間にんげんかい降下こうかしてきたのだ。かれは有情が輪廻転生りんねてんしょうから解脱するのをいつも妨害ぼうがいしているのだった。さてこの悪魔の自在天は、菩薩が前進ぜんしんしようとしているのに対して、そんな努力どりょく中止ちゅうしするのがのためで、さらにはみんなのためになる、としんじさせてだまし、おもいとどまらせるためにやって来たのである。
悪魔がこんなふうに菩薩を制止しようとしたので、カンタカは気分きぶんがいして両方りょうほううしあしをはねて空に向かって跳びがり、両方の前足まえあしろうとしたのだが、悪魔はち前の魔力まりょく使つかってけることができた。それから空中くうちゅう浮揚ふようしているあいだに悪魔は菩薩に、こうかたりかけた。
「おお、わか勇敢ゆうかんな菩薩よ、世をてるな! 僧になる必要ひつようはない。なぜならきょうから七日なのかに、せいなる輪宝りんぽうがあなたの前にあらわれるだろう。わたしは約束やくそくするが、あなたは転輪聖王てんりんじょうおうになってとみ権力けんりょくをもつだろう。宮殿にもどりなさい、殿下! 戻りなさい!」
「おまえは誰だ? どういうわけで、あえてわたしの出家を思いとどまらせようとするのか?」と菩薩がきいた。
「殿下、わたしは悪魔の自在天です」と、悪魔がこたえた。
菩薩は、こんな大胆だいたん返事へんじをした。
「消え失せよ、悪魔! わが道を、これ以上いじょう妨げるな! わたしは、おまえなどより前に、聖なる輪宝りんぽうたしかにわたしに現れると、すでに知っていた。だが、わたしには転輪聖王になりたいというのぞみがこれっぽっちもないのだ。なぜなら、さとりにたっすることこそっているからである。ブッダの偉大いだいちからによって、わたしはあらゆる有情を生老病死しょうろうびょうし苦難くなんから解脱させるためにたすけるであろう。かれらを涅槃の無上むじょうの幸福にみちびくであろう」
そこでただちに、悪魔は菩薩を脅迫きょうはくした。
「おお、わかい王子よ、いまの言葉ことばえず心にたもっておけ! これからの七年間ねんかん、しっかり、おまえにつきまとってやろう。おまえの心が肉欲にくよくいかり、がいたされるたびに、わたしが誰なのか、思い知らせてやろう。おまえの心のエネルギーの流れによごれがしょうじる、まさにその現場げんばで、わたしはおまえを即座そくざころしてやろう」

15話に続く


南伝ブッダ年代記

Episode 14.  RENUNCIATION OF THE BODHISATTA

The four great omens happened one after another as a log flowing along a river without any barrier would surely reach the ocean. What the eight learned brahmins had predicted came true.

In his residential palace, an extravagant party was arranged by King Suddhodana. A grand dinner was prepared, and some beautiful female attendants were ready to serve the prince. Girls who were skilful musicians, dancers and singers, and who possessed celestial beauty and complexion were ready to entertain the prince for celebrating the birth of King Suddhodana’s grandson—Ràhula, who was born that morning.

The prince, who had just come back from his auspicious trip, looked happier now compared with his previous trip. Everyone in the palace misunderstood. They thought the prince was happy due to the birth of Ràhula, but actually he was happy because he knew the way leading to real happiness was by renouncing the world and becoming a monk.

However, the prince did not want to disappoint his father. He had his dinner quietly without paying much attention to the songs and dances. After that, he went to sit on the side of the royal couch. All the singers and dancers followed him to where he went. With musical instruments playing, the performers staged beautiful dances and sang melodious songs. Even as he watched the dances and heard the songs, they were neither enjoyable nor attractive, for actually he was tired after a full-day trip and his mind was preoccupied with thoughts of liberating sentient beings from old age, sickness and death, all of which were distressing, oppressing and miserable.

After a while, the prince became very tired. He found no pleasure in such entertainments as the singing, dancing and music. He then laid down on his right side and soon fell asleep. Knowing that it was no use entertaining a sleeping prince, the singers, dancers and musicians stopped their play, and found a chance to rest for a while until the prince would wake up again. As they were also exhausted, they immediately fell asleep, letting fragrant oil lamps illuminate the chamber.

 

Leaving the Palace

At about midnight, Prince Siddhattha was awake. He sat cross-legged on the couch and looked around. He was shocked with what he saw. He found all the dancing girls, singers and musicians sleeping all over the floor of the chamber. The beautiful and charming girls, who entertained the prince a while ago, now lost their charm. Some girls were sleeping with their mouths open, with saliva flowing out and soiling their cheeks. Some were grinding their teeth like hungry ghosts, some were snoring like pigs, and some were jabbering. Some were lying with their clothes open, showing parts of their bodies while some others with their hair loose and in confusion. They looked ugly, loathsome, and were in shameful positions. The prince felt very disgusted with the sight; they were not different from dead bodies in a cemetery.

The Bodhisatta, Prince Siddhattha, became more detached from the five objects of sensual pleasure which were not real happiness, but which gave rise to more distress and suffering. He then expressed his intense feeling by uttering:

 

“Upaddutaü vata bho!

Upassaññhaü vata bho!”                 

 

“O, how distressing it is!

O, how oppressing it is!”

 

Prince Siddhattha became more determined that it was the right time to go forth from household life. He rose up from the royal couch and left the chamber so quietly that none of the dancing girls, singers and musicians woke up.

Then he found Channa, who were sleeping with his head resting on the threshold of the door. He instructed: “Channa, I wish to renounce the world this very night. Do not let anyone know! Go quickly and silently, and saddle my mighty white horse Kanthaka a bit tighter!”

Channa gave his assent, saying: “Very well, Your Majesty.” Swiftly, he carried with him a harness and some other necessary equipments, and went to the royal stable. When Channa saddled Kanthaka rather tightly, that horse came to know that he was being saddled differently and had no doubt that the prince was going forth to become a monk that very night riding on him. His heart was overjoyed because he was chosen by the prince for his noble renunciation (mahàbhinikkhamana). He neighed so vehemently that the sound reverberated throughout the whole City of Kapilavatthu, but the devas let no one hear the neighing sound.

In the mean time, Prince Siddhattha felt that he should see his newborn son before renunciation. He went to Princess Yasodharà’s chamber and opened the door quietly. Within the chamber, which was illuminated by scented oil lamps, the prince found her sleeping soundly with the baby prince beside her, with one hand on the head of the baby covering his face.

With a heart full of love, the prince stood still at the door looking at them. He did not dare to remove Princess Yasodharà’s hand and to cuddle his son even though he dearly wanted to. He reflected: “If I remove her hand, I will awake her, and if she wakes up, my plan of renunciation, which I am about to perform, will be upset as she will not allow me to leave the palace. Although I haven’t seen my dear son yet, but after I have found the way of deliverance from worldly suffering, and after I have found the medicine which can overcome aging, sickness and death, I shall come back and see my son and his mother.” Having made a strong resolution, he went out of the chamber and closed the door quietly.

Channa and Kanthaka were ready and were waiting for the prince in front of his residential palace. The prince descended from the royal palace, approached Kanthaka and instructed him: “Kanthaka, lead me this night for my noble renunciation! Your help is surely of great merit. After attaining Buddhahood, I will rescue all sentient beings to be free from the suffering of saÿsàra and guide them to the highest happiness of Nibbàna.”

On that full-moon day of âsàëha 594 B.C., in the middle watch of the night, silently Prince Siddhattha left the palace riding on the back of Kanthaka. His connate companion, Channa, accompanied him by clutching the tail of the horse. Clumps of thick clouds suddenly appeared and covered the sky as if it were to cry. But soon, they disappeared. The sky then became clear and was lit by the bright moonlight illuminating the silent night.

Ever since the childhood of the Bodhisatta, King Suddhodana had instructed sentinels in greater number to safeguard the main gate. He wanted to put in more precautions to prevent the Bodhisatta from seeing the omens predicted by the eight learned brahmins. But now, after the four omens had occurred, he considered to have the main gate of the royal city strengthened. It would make it impossible for the prince to flee unnoticed through the main gate.

The Bodhisatta, Channa and Kanthaka each knew that the main gate of the royal city had been strengthened; however each of them had a similar plan to escape from the Kapilavatthu City by jumping over the high wall of the city were the main gate not open. However, by the virtues of the Bodhisatta, the guardian devas were pleased to keep the gate readily open for him to pass.

 

The Deterrence of Màra Vasavattã

Thus, when the Bodhisatta arrived at the main gate of the royal city, he had no difficulty to go out as no one hindered him. But, just as he rode out of the main gate, Màra Vasavattã stopped him. He descended to the human world from his abode of the Paranimmitavasavattã-Deva world in a blink of time, as fast as he could stretch his folded arm. He had always obstructed sentient beings from being emancipated from the rounds of rebirth. Now, he came to dissuade the Bodhisatta from going forth by tricking him into believing that the cancellation of his efforts was for his own good and was more beneficial to all.

When Màra tried thus to stop the Bodhisatta, Kanthaka was so upset that he jumped up to the sky with both of his rear legs and tried to kick Màra with both of his front legs, but Màra could avoid it by using his power. Then while levitating in the sky, Màra spoke thus to deter the Bodhisatta: “O young and brave Bodhisatta, do not renounce the world! You do not need to become a monk, for on the seventh day from today, the divine Wheel Treasure shall make its appearance before you. I promise that you shall be a Universal Monarch with great prosperity and power. Go back to your palace, Your Majesty! Go back!”

The Bodhisatta asked: “Who are you? How dare you deter my renunciation?”

Màra replied: “Your Majesty, I am Màra Vasavattã.”

The Bodhisatta made this bold reply: “Get away, Màra! Hinder my path no more! I have already known even before you that the divine Wheel Treasure will certainly arise for me. But I do not have the least desire to become a Universal Monarch as for me the attainment of Buddhahood is supreme. By the great power of a Buddha, I will help all sentient beings to be free from the afflictions caused by birth, old age, sickness and death. I will guide them to the eternal bliss of Nibbàna.”

Thereupon, Màra threatened the Bodhisatta: “O young prince, keep your words constantly in mind! From this time onwards, for seven years, I will follow you closely. I will make you know well who I am whenever your mind is filled with sensual desires, ill-will or cruelty. I will kill you outright at the very place where the defilements arise in your mental continuum.”

To be continued

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アシン・クサラダンマ長老

1966年11月21日、インドネシア中部のジャワ州テマングン生まれ。中国系インドネシア人。テマングンは近くに3000メートル級の山々が聳え、山々に囲まれた小さな町。世界遺産のボロブドゥール寺院やディエン高原など観光地にも2,3時間で行ける比較的涼しい土地という。インドネシア・バンドゥンのパラヤンガン大学経済学部(経営学専攻)卒業後、首都ジャカルタのプラセトエイヤ・モレヤ経済ビジネス・スクールで財政学を修め、修士号を取得して卒業後、2年弱、民間企業勤務。1998年インドネシア・テーラワーダ(上座)仏教サンガで沙弥出家し、見習い僧に。

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ヴィパッサナー修習(観察冥想)実践、仏教の教理を学び、先輩僧指導の下、2000年までジャワ島、スマトラ島で布教に従事。同年11月、ミャンマーに渡り、チャンミ・イェッタ森林冥想センターで修行し、2001年、導師チャンミ・サヤドーのもとで比丘出家。同年、ミャンマー・ヤンゴンの国際仏教大学(ITBMU)入学、2004年首席(金メダル授与)卒業。同年以降2006年まで、バンディターラーマ冥想センター(ヤンゴン)、バンディターラーマ森林冥想センター(バゴー)でヴィパッサナー冥想修行。

奥田 昭則

1949年徳島県生まれ。日本テーラワーダ仏教協会会員。東京大学仏文科卒。毎日新聞記者として奈良、広島、神戸の各支局、大阪本社の社会部、学芸部、神戸支局編集委員などを経て大阪本社編集局編集委員。1982年の1年間米国の地方紙で研修遊学。2017年ミャンマーに渡り、比丘出家。

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著書にヴァイオリニスト五嶋みどり、五嶋龍の母の半生を描いた「母と神童」、単一生協では日本最大のコープこうべ創立80周年にともなう流通と協同の理念を追った「コープこうべ『再生21』と流通戦争」、新聞連載をもとにした梅原猛、今出川行雲、梅原賢一郎の各氏との共著 「横川の光 比叡山物語」。2021年、逝去。
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